短編にもならない思いつき小ネタ集
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降りそそぐ雪に、白夜叉の姿が霞んで見えて、
まさに今、生死のさかいの戦いをしている最中なのに、あたしは銀時のもとへ駆け出した。
結果、あたしを庇って銀時は左腕に怪我をし、目の前のヅラはそうとうご立腹のようで、辰馬も晋助も助けてはくれない。
あたしはヅラの前で正座。ヅラはあたしの前で仁王立ちというこの体制。
「俺は平気だっていってんじゃん。それぐれーにしといてやれよヅラァ。」
「ヅラじゃない、桂だ!」
「ごめん。」
「謝ってんだし、もういいじゃねーか。」
「しかしだな銀時。何も理由がないのに陣を崩すとはやはりなっとくできん。」
「…………。」
途中、ヅラの説教がグチグチ聞こえるだけの部屋に、痺れを切らして銀時が会話に入ってきた。
だって、言えるわけがない。消えそうで不安だったなんて。そんな理由で飛び出したなんて、迷惑きわまりないし、この気持ちは誰にも打ち明けたことがないから。だから、だんまりを決め込むあたしにヅラは不満なんだ。
「ほら、行くぜ●。」
「へ?」
とたんに腕をぐっと引っ張られて、銀時に引っ張られて部屋を駆け出すように出ていく。
後ろでヅラがどなる声が聞こえていた。
そのまま暫く、銀時につれられるまま、待機所として使っている寺の一番奥の部屋まで走った。
銀時があたしの手を放す。その放した手でボリボリと頭をかく銀時のそのしぐさは、珍しく考え事をしているときか困っているとき。
たぶん、後者
「なぁ、●。」
「……何?」
「あのさ……、なんていうか、なんかあっただろ?」
ドクンと心臓が波打った。
「なんで?」
貸すかに震えた声が言葉をつむいだけれど、
その震えを銀時が見落とすわけがなく、一瞬目を見開いたあと、また困ったように頭をかいた。
そのしぐさに泣きそうになる。
「雪が……。」
「……。」
気が付けば銀時の髪に手を伸ばして口走っていた。
あぁ、ダメだこれ以上はいってはいけない。
そう制止の声が聞こえるのに、体は言うことも聞かず、
「雪に……、溶けていきそうで……。」
「溶けねえよ。」
髪に伸ばした手を掴まれた。
ほら、とその手を銀時は自分の心臓に持っていく。
トクントクンと聞こえる命の鼓動に、涙が一筋こぼれてた。
「こわっ、かった……っ!」
本格的に泣き出してしまったあたしは、うつむくけれど、ポタポタこぼれる涙の滴は、地面におちて音をたてる。
「消えねぇよ。溶けねぇし死なねえ。だから、そんな顔してんじゃねーよ、いつもの●はどこにいったんですかコノヤロー。」
銀時の両手が頬におりてきて、そのまま上を向かされる。
額に柔らかな唇の感触がふってきた。
その感触に瞳を閉じる。
暫くして離れていった唇の感触に、すこし名残惜しくて目を開ける。
視線の先の銀時は恥ずかしそうに視線を反らして、私の肩を叩いてヅラがいる部屋まで戻っていった。
あたしは、わけもわからないまま、その場にたちつくして、けれど、今の私の顔は赤く染まっているだろう。
――――――――――
久しぶりのSSSの更新。
何ヵ月してないんだお前はっていう。
それにまた銀さんですかっていう。
SSSもログの整理しなくちゃだめですね。
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