短編にもならない思いつき小ネタ集
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「待って●!」
後ろから呼ばれた声に、聞こえないふりをして速足で逃げる。
これ以上、軋めないで。これ以上触れてこないで。
今にも壊れそうな胸が悲鳴をあげている。
「●!!」
山崎さんが叫ぶ声が後ろから聞こえる。
でも、それでももう、貴方の声は今は聞きたくない。
歩くスピードを一段と速めた。
「●!!!」
痺れを切らした山崎さんが後ろで走り出す音が聞こえる。
反射的に、私も駆け出していた。
こんな顔、見せたくない、見せられない。
今にも泣き出しそうな衝動を押さえるのに精一杯で、
だから、困らせたくない。
こんな顔を見せて、山崎さんを困らせることだけはしたくない。
だから、追いかけてこないで、追い付いて来ないで、と必死に走った。
「●!!!」
男と女の違いなのか、結局追い付かれてしまった。
普段の山崎さんからは想像もつかない乱暴さで腕を捕まれ山崎さんのほうへ顔を向かされる。
「痛ぅ…。」
予想以上に握られた手に込められた力に、悲鳴をあげる。
それでも私は山崎さんのことを直視出来ず、うつむいていた。
「なんで逃げるの?」
予想以上に怒っていたのか、山崎さんの声のトーンがいつもより低い。
捕まれた腕を、私は強引に払った。
「別に、山崎さんには関係ないでしょう。」
人の思いも知らないくせに。
これ以上、思わせ振りなことしないで欲しい。
そのうち、本当にこの胸が千切れてしまうから、だから、
「もう、こんな苦しい思いをするの、嫌なんです。」
だから、もうこれ以上私に構わないで。近づいて来ないで。
貴方が女の人には皆平等に優しいことだって分かっているから。
お願いだから、特別になりたい、とこれ以上思わせないで。
「それ、どういう意味?俺と一緒にいるの嫌ってこと?」
そう、そうだけど、そうじゃない。
ポタポタと、地面に雫が零れ落ちた。
「…●?」
黙り込んだ私に、不信そうに問う山崎さん。やっぱりその声は怒っているけれど。
もういいや、と。ここで玉砕してしまおう、と。これ以上嫌われてしまう前に、もういっそのこと、すべてを捨ててしまおう。
キッと涙も拭わずに、山崎さんをにらみあげた。
「迷惑なんです!毎日毎日人の頭の中に出てきて!人の想いだって知らないくせに!優しくするのやめてくださっん!!」
乱暴に引き寄せられて、唇に噛みつかれた。
目を見開く私に瞳に写るのは山崎さんのドアップで
私は訳の分からないまま、その行為に流される。
強引に口内を荒らされる。
逃げる舌をからめとられて上手く息が出来ない。
拒絶するように山崎さんの肩を両腕で押し返すけど、逆に腕をとらえられて身動きが出来なくなる。
どうして、こんな……。
酸欠で身体に力が入らなくなってくる。苦しい。
目尻に涙がたまって、今にも崩れそうになったところで、やっと唇を解放してくれた。繋がる銀色の糸がいやらしくて、目を反らしたくなった。
身体に力が入らなくて、ガクン、と膝が折れた時、即座に気がついた山崎さんが体を支えてくれて、そのまま優しく包み込むように抱き締められる。
「…やっ、ざきさ…、な…で……。」
「分か、ら…ない?」
分からない。
なんで、いきなりこんなこと。
だって、山崎さんは皆に平等に優しくて、私もその中の一人だって、
「俺、好きな人にしか、こんなことしないよ。」
涙が、また溢れたした。
―――――――――――
山崎のキャラが違うー……
奴はもっとヘタレであるべきなのに―…
でも、山崎だって男なんです!って言うのが書きたかったんですが、なんか後半もう山崎じゃないよなぁ……と。
まぁ、でもたまにはこんな山崎でもいいか!と開き直りました。
ネームと銀夢につまってるからといって逃避した結果がこれです…………。
ダメ人間高瀬ー!
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